今回は、ミッキーの話から少し離れますが、久しぶりに心が震えて感動したエピソードを耳にしたので、ぜひご紹介させてください。(脚色ナシのノンフィクションです!)
二匹の地域ネコ
私が尊敬してやまない友人・キコさん(仮名)と、彼女の家にやってきた二匹の猫のお話です。
キコさんご夫婦が暮らすのは、静かな住宅街。地域ネコたちがのんびり過ごしていて、ご近所のみなさんも時々ごはんをあげたり、そっと見守ったりしているそうです。
そんな中、キコさん宅には特にお気に入りの常連さんが二匹いました。それが「クロ」と「チビ(後のヴィトン)」です。

クロは頼もしい男の子で、チビを守るボディーガードのような存在です。チビは、そんなクロにいつも守られ、クロの後ろに隠れて行動する控えめな女の子。危険が迫ると、クロは必ずチビの前に立ちはだかります。まるで“小さな騎士とお姫様”のような二匹。外の厳しい世界で、唯一無二の相棒同士です。(二匹とも避妊・去勢手術済み。耳に「さくらカット」というV字型の切り込みがあります)
猫好きなキコさんは、そんな二匹のためにお庭にたくさんのキャットハウスを設置し、居心地の良い「くつろぎスペース」を用意。バッグにはいつもキャットフードを忍ばせ、朝晩やってくる二匹に手からごはんをあげて、たっぷり可愛がっていたそうです。
チビ、大ピンチ!
ところがある日、二匹が姿を見せません。心配したキコさんがキャットハウスを覗くと、ぐったりと横たわるチビの姿が…!どうやら大ケガをしている様子。おそらく必死に身体を引きずって、キコさん宅まで戻ってきたのでしょう。
「チビ!」と叫ぶキコさん。すると、どこからともなくクロが駆けつけてきました。クロもきっと、チビを心配して探し回っていたに違いありません。
キコさんご夫婦は大慌てでチビを動物病院へ――。お医者さんからは「骨盤がずれて歩けない状態。命を救うには手術しかありませんが、費用もかなり高額になります」との説明。しかも、成功が約束されているわけではない難しい手術です。
それでもキコさんご夫婦は「お願いします。チビを助けてください!」と即決でお医者さんにお願いしました。
…もし私だったら、同じことができるだろうか? キコさんご夫婦の深い優しさと決断力には、ただただ頭が下がります。
手術は無事に成功! レントゲンにはしっかりとボルトが埋め込まれていました。まさに命がけの大手術です。
ケガの原因は「大きくて固いものにぶつかったのでは」とのこと。もしかしたら車やバイクに…あるいは、悪意のある人間によるものだったのかもしれません。そう考えると胸が締め付けられます。
実はこの時、キコさんは定年退職のお祝いに、ご主人から憧れの「ルイ・ヴィトン」のバッグをプレゼントしてもらう予定でした。そして、そのバッグは手術費用とほぼ同じくらいの“特別なご褒美”だったのです。でも今回、そのバッグは一時お預け。ご夫婦は迷うことなく、チビの命を選んだのです。(気になるお値段ですが…正直、私がその値札を見たら「二度見、いえ、三度見」してしまう金額です)
退院したチビには、新しい名前がつきました。その名も「ヴィトン」ちゃん!憧れのバッグよりも、ずっと価値のある命のプレゼントです。 「ヴィトン」という猫、なかなかいませんよね? キコさんのネーミングセンス、最高です!
“クロ”と”ヴィトン”、二匹の絆
手術を終えて帰ってきた(チビ、改め)ヴィトンちゃん。お医者さんからは「しばらく安静に」と言われているので、おうちの中で過ごすことに。でも、いつも一緒だった相棒クロと離ればなれです。おうちの中と外、窓越しにお互いの姿が見えるところで過ごし、時には「にゃーにゃー」と何やらお話しているようです。(本当に、そんな光景が見られたそうです…笑)
やがてヴィトンちゃんは「外に出たい!クロに会いたい!」とばかりに大騒ぎが始まります。家中を駆け回り、脱走を画策する姿は、まるで“小さな悪魔”だったとか(笑)。
安静期間が終わる頃、ついにキコさんも根負け。ヴィトンちゃんの気持ちを尊重して、外に出してあげることにしました。
それから数カ月、今ではクロとヴィトンちゃん、元気にお外を駆け回り、ゴハンとお昼寝にはちゃんとキコさん宅に帰ってくるそうです。
キコさんご夫婦の優しさ、ヴィトンちゃんのたくましさ、そしてクロとの固い絆ーー。
“野良ネコ”や“地域ネコ”とひとくくりにされがちですが、それぞれに大切なものがあり、必死に生きています。
この物語は、私の心の中でずっと温かく残っています。

<地域ネコについて>
地域ネコとは、地域の住民やボランティアさんに見守られながら、その土地で暮らしている猫たちのことです。きちんと管理されているのが特徴で、いわゆる野良ネコとは少し違います。
猫はとても繁殖力が高いため、増えすぎを防ぐために去勢・避妊手術が行われます。手術を受けた猫は、耳先をV字型にカット(さくらカット)されます。これは桜の花びらの形に似ていることから、「さくら猫」とも呼ばれています。
こうした地域ネコ活動によって、病気や交通事故で命を落とす猫が減ったり、発情期のケンカや鳴き声によるトラブルも少なくなります。
ただ、猫が苦手な住民の方の理解を得るのが難しい場合もあり、手術やご飯代などの費用はボランティアさんの自己負担になることも多いそうです。
だからこそ、地域ごとにルールを作ったり、住民みんなで話し合いながら活動を進めていくことが大切なのだと思います。
私の近所では、地域ネコや野良ネコをほとんど見かけませんが、それはきっと、どこかで誰かが静かに保護活動を続けてくれているおかげなのかもしれません。
こうした活動をされている方々には、本当に頭が下がる思いです。
コメント
(*´∀`*)〜♡
無事元気になってくれて良かった
責任感ある地域猫との触れ合い…
ステキな話しありがとうございます
ホントにネーミングも素敵ですね
ホント、ステキですよね!キコさん、ご自身の行動をえらぶることなく、さらっと面白い名前をつける…そこがお茶目なところなんです。
キコさん夫婦は心が豊かで、お金の価値を知ってる人なんやね。すごいなあ、そしてヨカッタなあって思った😢
うちの近所も地域猫らしき仔猫ちゃんが公園に集まってるんだけど(みんなが餌あげてる)耳の切れ込みは気にしたことがなかった。今度見てみよう〜
そういえばこの前は、アライグマがいたからキウイあげたよ🥝
この子も耳に切れ込みあったのかな、なんっって。
あらいぐまヮ(゚д゚)ォ!
こりんさん、コメントありがとうございます。「お金の価値を知ってる人」という表現、すごくステキですね!本当にそう思います。
ちなみにネコのさくらカットですが、一般的に、オス猫は右耳、メス猫は左耳にV字型のカットされるそうです。(…完全なちょいネタです)
アライグマにキウイ、ですか?
アライグマがどこいたの?とか、アライグマはキウイが好きなの?とか、キウイはたまたま持ってたの?…と、色んな疑問がわいて少し混乱しましたww
キウイを食べるとき、やっぱり洗って食べていましたか?…なんつって。